11ダミー

自己破産をすると選挙権は無くなる?公民権は?

借金が払えない時には、過払い請求や
おまとめローンなど幾つかの対策があります。

その対策の中には、債務整理という方法もあるのです。

債務整理には何段階かあり、任意整理や
特定調停、個人再生、自己破産の順に
減額幅が大きくなって行きます。

そして自己破産の場合には、返済金は原
則として全て無し、ゼロ円になります。

借金がゼロになれば、こんなありがたい
話はありませんよね。

ところが、実際に自己破産を選んだ人は、
最も多い任意整理などに比べて、
ごく少ないのです。

その理由としては、やはり減額幅は大き
いが、デメリットも大きい、ということでしょう。

そこで今回は、自己破産をすると選挙権
や公民権はなくなるのか、自己破産した
時の制限はどんなものかを紹介いたします!

自己破産をすると選挙権や公民権は無くなる?

自己破産をすると
選挙権や公民権は無くなるというデマ
があります。

パスポートが発給してもらえないという
のも嘘っぱちです。

自己破産をしても選挙権・被選挙権はな
くなりませんし、パスポートも発給して
もらえます。

選挙権とは簡単に言えば、選挙で投票する権利です。

被選挙権とは、選挙に出て投票をされる権利です。

どちらも国民としての基本中の基本の
権利で、自己破産とはなんの関係もあ
りませんし、自己破産したからといって剥奪されるものでもありません。

選挙権は18歳以上で日本国籍があれば、
性別、財産、学歴などによる差別は全くなにもありません。

被選挙権は、一定の年齢に達すると、
選挙に出て代表になる資格のことを言います。

この一定の年齢とは、衆議院と地方議員
は25歳以上、参議院と都道府県知事は30歳以上となっています。

公民権とは、この
選挙権・被選挙権を行使できる権利
のことを指します。

自己破産の経験者や破産手続き中の人で
あっても、選挙に出たり投票する権利は
あります。

尚、平成12年までは、禁治産者は選挙権
及び被選挙権の欠格条項とされていたのです。

そのため、
「禁治産者」と「破産者」を混同して、
破産者には選挙権がないというデマになったようですね。

尚、成年後見制度の導入により、禁治
産者などの用語は使われなくなりました。

このように自己破産で選挙権や被選挙権
(公民権)がなくなることは、決してありません。

しかし、選挙権や被選挙権がなくなること自体は、あるのです。

禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者

禁錮以上の刑に処せられ、その執行を受
けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く)

以下の何れも成立してない者

  1. 仮釈放後の残刑期期間満了
  2. 刑の時効
  3. 恩赦による刑の執行免除

公職にある間に犯した収賄罪により刑に
処せられ、実刑期間経過後5年間(被選
挙権は10年間)を経過しない者

または刑の執行猶予中の者

選挙に関する犯罪で禁錮以上の刑に処せら
れ、その刑の執行猶予中の者

公職選挙法等に定める選挙に関する犯罪に
より、選挙権、被選挙権が停止されている者

政治資金規正法に定める犯罪により選挙権、
被選挙権が停止されている者

このように、
犯罪を犯した者は選挙権を失う
ことになります。

無論永遠にではなく、上にあるように一
定の期間を過ぎれば、再び選挙権は戻ってきます。

自己破産は全く犯罪とは関係ないので、
選挙権を失わないのは当たり前のことなんですね。

夜逃げや借金の踏み倒しでは選挙権がなくなることもある!

このように、自己破産で選挙権、被選挙
権(公民権)がなくなることは決してありません。

しかし、自己破産でもなく、また犯罪を
おかしているわけでもないのに、
「結果的に」選挙権がなくなってしまう、というケースはあります。

それが夜逃げや借金の踏み倒しをした時
に、起きることがあるのですね。

どういうことかと言いますと、夜逃げや
借金の踏み倒しをする時には、取り立て
をまぬがれるためには、住所を変えなければなりません。

ところが、住所変更で住民票を新住所に
移すと、一発でばれてしまいます。

ですから、住民票は旧住所のまま、放置
しておくことになります。

選挙で投票するためには、
選挙の投票用葉書が必要です。

しかし、選挙の投票用葉書は
「住民票の住所」に送られてくるので、
その葉書を受け取ることができません。

葉書がなけれぱ投票はできないので、
「結果として」選挙権を失うことになるわけですね。

選挙権などの公民権と、踏み倒した借金
と、どちらが大切なのかは、その人によって異なるでしょう。

とはいえ、踏み倒した借金の代償として
は、あまりに大きいと思えますね。

自己破産での制限は?

自己破産をした場合、住所や持ち物、
資格などには制限などはあるのでしょうか?

住所や持ち物には、制限はありません。

但し、居宅や家具などは自己破産の際の
差し押さえの対象になりますので、残らないでしょう、

持ち家の場合は引越は必須です。

また、自動車なども差し押さえられます。

差し押さえの対象にならないのは、衣類
や炊飯器具などの生活必需品だけです。

自己破産後に残せる財産は、給与の4分の3
や99万円以下の現金、20万円未満の貯金に
関しては残すことができます。

それと自己破産で大事なことは、
自己破産の認可は2度目は難しい
ということです。

自己破産から7年以内は、2度目の自己破
産を申請すること自体ができません。

自己破産から7年が経過すれば、申請はで
きますが、裁判所の心象が悪いため
免除が認められるのは困難なのです。

自己破産での制限には、新しい借り入れ
やクレジットカードの作成ができない、などがあります。

自己破産の制限で、もっとも大きなもの
は、自己破産後につくことのできない職業でしょう。

  • 弁護士や税理士、公認会計士、司法書士など
  • 宅建業者
  • 貸金業
  • 旅行業者
  • 生命保険外交員
  • 警備員
  • 成年後見人、保佐人、補助人など

これらが自己破産後につくことのできな
い職業ですが、この他にもかなりあります。

尚、成年後見人、保佐人、補助人とは、
認知症などになった人の代わりに財産
管理などを行うものです。

ただし、これらの制限は、この先一生制
限を受けるというものではなく、
「復権」という制度があります。

免責と復権とは?

自己破産での免責とは、
借金などの支払い義務がなくなる
ことを言います。

自己破産では、
残りの借金は払わなくて良い、
とされています。

しかし、自己破産をしただけでは、直ち
に借金の支払い義務がなくなるという
わけではありません。

借金の支払い義務がなくなるためには、
自己破産手続きで裁判所から免責決定
もらうことが必要です。

この免責では、免責不許可事由がある場
合には、免責が許可されない場合があります。

また、免責決定がでても支払い義務がな
くならない債権(非免責債権)もあります。

税金や罰金、養育費、婚姻費用などが、
その支払い義務が残るものの代表です。

自己破産者は、法律上「破産者」という
扱いになり、一部の職業に就くことができなくなります。

そして上記のつくことができない職業の
制限も、復権によって解除されるのです。

この復権には、「当然復権」と
「裁判による復権」があります。

当然復権とは、

  1. 免責許可の決定が確定したとき
  2. 破産手続同意廃止の決定が確定したとき
  3. 再生計画認可の決定が確定したとき
  4. 破産者が、破産手続開始の決定後、詐欺破産罪(破産法265条)について有罪の確定判決を受けることなく10年を経過したとき

この4つの場合が該当します。

この中では、1の「免責許可の決定が
確定したとき」が、殆どでしょう。

つまり、一定の職業につけないという
時期は、
自己破産から免責の決定が出る迄の間だけです。

この期間は、裁判所の免責の許可が出れ
ば、3ヶ月から6か月程度で、復権することができます。

裁判所の許可を得る期間を含めても、
1年足らずでしょうね。

ということですので、一定の職業につけ
ないという問題は、それほど心配するこ
とはなさそうですよ。

結び

自己破産をすると選挙権や公民権は無く
なるとか、パスポートが発給してもらえ
ないという話が聞かれてますね。

これらは全て完全な嘘っぱちです。

自己破産をしても選挙権・被選挙権はな
くなりませんし、パスポートも発給して
もらえます。

なぜこんなデマが飛び交うのかはわかり
ませんが、恐らくは「禁治産者」と「破産者」を混同
したためかと思われます。

また、資格などの制限は、一定の職業に
つけないというものがあります。

これも免責と復権により、
1年足らずで元通りになりますので、
まったく心配はいりません。