自己破産

自己破産で裁判所に呼び出しの時の対応や用意するべき事は?

借金をして返済が出来ない場合には、債
務整理の一つである自己破産をすること
があります。

自己破産は、借金がゼロ、つまり全てな
くなりますが、色々な制約があります。

その一つに、裁判所の呼び出しに応じて、
裁判所に行かなければならない時がある
というものです。

普段法律に縁のない人間にとっては、裁
判所に行くのは億劫でもあり、また怖い
と感じる人も多いでしょう。

しかし、この呼出しと出席は、自己破産
を進めるためには、絶対に欠かすことが
できないのです。

この裁判所からの呼出し応じないと、
自己破産そのものが認可されない恐れ
もあります。

そこで今回は、裁判所に呼び出された時
にはどのようにすればよいのか、また用
意することはどんなことかを見ていきましょう。

自己破産で裁判所に呼び出しの時の対応は?

自己破産には
管財事件と同時廃止事件の2種があります。

どちらも殆どの場合、
債務者本人が裁判所に行く必要があります。

管財事件では、債権者集会・財産状況報
告集会には、
債務者本人が出席しなければなりません。

これは例え弁護士に自己破産の手続きを
依頼している時でも同様です。

同時廃止事件の「免責審尋」でも、裁判
所で直接債務者本人の意見や気持ちを
確認するのが原則です。

ただし、弁護士に依頼している場合は、
弁護士が行います。

もし、これらの出廷をしないと、
「非協力的である」などと見なされ、
免責の可否にも影響します。

ですから、万難を排して出廷すべきです。

指定されて日時にどうしても出廷できな
い場合は、その旨裁判所に申し出て、
日時を変更して貰いましょう。

もっとも、債権者集会など他者も出廷す
る場合は、日時の変更は困難な場合もあります。

出廷した時の最大の注意点は、聞かれた
質問に対しては、決してウソを言わず、
全て正直に答えることです。

これは管財事件、同時廃止事件のどちらでも同じです。

相手はプロですから、妙なウソはすぐ見
破るので、免責の可否へ影響は甚大です。

対応がわからない場合は、事前に弁護士
に相談しておけば、対応方法を教えてくれるでしょう。

免責審尋では、手続を弁護士に任せてい
れば、特に必要な書類はありません。

弁護士に依頼していない場合は、後項で
紹介するような
膨大な書類を整えることが必要になります。

自己破産の申し出の際に提出した書類の
控えや、裁判所から届いている
免責審尋の呼出状も必要になります。

自己破産の手続の流れと認可されない場合

自己破産の手続の流れはこのようになっています。

まず裁判所に自己破産と免責の申立をします。

不備がなければ破産手続開始決定がでます。

同時廃止の場合は、手続開始決定が出る
と同時に手続が廃止され、その後裁判官
により、債務者に対して免責に関する審尋が行われます。

審尋で問題がなければ
その後免責決定が下されます。

これで借金が0になるわけです。

管財事件の場合には、破産手続開始決定
と同時に破算管財人が選任されます。

破算管財人は、債務者の財産を処分して
お金にし、債権者に配分します。

これが終われば、破産手続は廃止され、
免責決定となります。

これで、借金は0になります。

自己破産を申し出ても、裁判所に許可さ
れない場合もあります。

「免責不許可事由」がある場合は、免責が降りません。

この「免責不許可事由」には、財産につ
いて嘘の申告をしたとか、破産手続に
非協力的だった場合が該当します。

裁判所からの呼出で用意するべき事は?

自己破産の場合に用意するものは、例え
弁護士に依頼した場合でも、非常に多数あります。

書き方は弁護士に教えて貰ったり、書い
て貰ったりすればよいのですが、自分で
取得しなければならない、書式も多いのです。

以下がその一覧です。

  1. 委任状
  2. 破産手続き開始および免責許可申立書
  3. 陳述書
  4. 債権者一覧表
  5. 財産目録
  6. 戸籍謄本
  7. 住民票
  8. 給与明細書(3か月分)
  9. 源泉徴収票(2年分)
  10. 建物の登記簿謄本
  11. 賃貸借契約書
  12. 預貯金通帳
  13. 家計収支表
  14. 有価証券コピー
  15. 車検証のコピー
  16. 保険証券のコピー
  17. 退職金見込み額証明書
  18. 同居人の給与明細コピー(1年分)
  19. 同居人の源泉徴収票のコピー(1年分)

なお、これらの書類には、添付用として
必要なものを含んでいます。

住民票や戸籍謄本は市区町村区役所で、
不動産の登記簿謄本は法務局で入手することができます。

なお、上記以外に費用も発生します。

  1. 収入印紙  1500円分
  2. 郵便切手  およそ数千円程度
  3. 予納金   1万数千円程度

郵便切手は債権者に対する文書の発送な
どに使用します。

予納金は官報に掲載するための官報広告
費などに使用されます。

尚、上記には弁護士や司法書士に対する
報酬は含まれていません。

この費用はケースによって異なりますが、
概ね30万円から70万円程度はかかります。

裁判所の審尋とは?

自己破産の同時廃止事件では、
裁判所による審尋(しんじん)が行われます。

審尋とは、法律用語で事件(この場合は
自己破産の内容)に関して、意見や主張
裁判所が本人から聞くことを言います。

具体的には、裁判所へ出廷し、裁判官の
質問を受けたり、意見交換をしたりします。

審尋は弁護士が破産者の代理人になって
いる場合、「即日面接」という制度が
適用されます。

審尋は債務者本人の出廷が原則です。

しかし、弁護士が代理人になっている場
合は、自己破産申告を行った当日に、
裁判官と代理人の弁護士が面接をします。

そこで「支払不能」の判断が下されれば、
自己破産開始が決定されます。

つまり本人は出廷しなくてよいのです。

法廷に不慣れな普通の人間は、
「裁判所に出頭!」と聞いただけで
ビビッてしまいます。

その出廷をしなくて良いのは、
弁護士に依頼する大きなメリットですね。

審尋での裁判官の具体的な質問内容は、
借金の額やなぜ自己破産しなければなら
ないか(借金を返済出来ない理由)などです。

これを裁判官と対面して行います。

実際には、自己破産を申請する際に、
「破産手続開始・免責許可申立書」や
「債権者一覧表」「家計全体の状況」「陳述書・報告書」などを提出します。

それらの書類には、債務者が自己破産
申立てをしなければならなくなった
理由を詳しく書きます。

ですから、これらの書類が詳細且つわか
りやすく書かれていれば、審尋はスムーズに進みます。

自己破産申し立て書類を提出後約1か月
(弁護士が代理人なら即日)で
第一回目の審尋
が行われます。

これは破産審尋と呼ばれます。

数ヵ月後に2回目の審尋があります。

これは免責に関するもので、
免責審尋と呼ばれます。

これは形式的なもので、住所氏名を聞か
れる程度の場合が多いようです。

所要時間も10分程度ですみます。

その後、1~2週間後に、裁判所から
「免責許可決定書」の書類が送られて来ます。

この免責で、借金はゼロになり、
又、各種の制限も解除されます。

目出度く?自己破産が完了したということですね。

「自己破産 目出度くもあり 目出度くもなし」

結び

自己破産には、管財事件と同時廃止事件
の2種があります。

管財事件では裁判所から呼び出された場
合は、本人が出廷する必要があります。

同時廃止事件では、弁護士に依頼している時は、
弁護士が代わりに出廷する場合もあります。

いずれにしても、第1回目の呼出しは非常
に重要で、事前に必要書類を遺漏無く整え、
主張や願いなども明確にしておく必要があります。

弁護士に依頼する場合には、それらの事
項をよく相談し、打ち合わせておきます。

審尋とは、同時廃止事件で裁判官が債務
者の意見などを聴取することを言います。

審尋は弁護士が破産者の代理人になって
いる場合、「即日面接」という
制度が適用されます。

これは自己破産申告を行った当日に、
裁判官と代理人の弁護士が面接をします。

この後は2回目の審尋もありますが、これ
は形式的なもので、
その後免責決定となります。

これで自己破産は完了します。