借金

借金の時効はいつ?個人と消費者金融で違いがある?

時効というものがあります。

時効とは、何年か経つと、そのことは
なかったことになる、というものですね。

殺人などの刑事事件の場合にも時効はあ
りますし、借金などの民事事件でもあります。

借金の場合は、借りた方にとっては時効
は大変ありがたいシステムですが、実際
に借金で時効になったという例は、決して多くはないようです。

それは借金の時効には、時効の中断など
のシステムがあり、容易には時効に至ら
ないからです。

では、金融業者からの借りた場合と、個
人から借りた場合の時効までの時間は違
いがあるのでしょうか?

また、時効の中断とはどういうものなのでしょうか?

今回は、借金の時効について見ていきましょう。

個人と消費者金融の借金の時効はいつ?

民法上の時効には、
取得時効と消滅時効の2種類があります。

借金の場合は、通常は
消滅時効が時効ということになります。

消滅時効とは、一定期間、権利が行使さ
れなかった場合に、その権利が消滅する
ことを言います。

ある一定の期間、債務者が返済をせず、
債権者が催促や確認などの行動を起こ
さなければ、債権者の権利はなくなるということです。

逆に言うと、債務者が返済をしなかった
としても、債権者が催促や確認をすれば、
時効は中断することになります。

また、時効期間が満了しただけでは、
時効は成立しません。

時効が成立するには、
「時効の援用」を行う必要があるのです。

この時効が成立する迄のチャートは、このようになります。

借金の借入れ → 返済期日 →

返済期日から所定の期間が経過 → 時効期間満了

→ 時効の援用 → 時効成立

また、その時効までの期間は、

  • 銀行、消費者金融などの法人の商取引 5年
  • 個人間の貸し借り          10年

となっています。

時効の起算日は、
最後に返済した日の、次の返済期日の翌日
で、その日から時効が進行します。

借金の借入後、一度も返済しなかった場
合は、返済期日の翌日から進行します。

具体的に書きますと、このようになります。

  • 2018年2月1日:借金の契約
  • 2018年4月1日:1回目の返済期日に返済した
  • 2018年5月1日:2回目の返済期日には返済せず
  • 2018年5月2日:時効の進行開始

時効の日が来ても自動的に時効になるこ
とはありません。

時効の援用をしないと時効にはならないのです。

時効の援用は、債権者に配達証明付の内
容証明郵便で時効援用通知書を郵送する
必要があります。

時効の成立には「消滅時効の援用手続
き」以外にも複雑な条件があります。

借金の時効成立の条件は、

  1. 返済しない期間が5年または10年以上
  2. 消滅時効の援用を行う
  3. 貸主が「時効の中断」をしていない

などです。

しかし、実際に消費者金融などの借金を
時効にしたという例は、あまり多くはないのです。

その理由は、上の条件の中で、「貸主が
時効の中断をしていない」という項目があるからいです。

現実には、消費者金融ではなんとしても
時効にしないために、時効の中断を計ります。

尚、時効の中断については、次項で説明し
ますので、ここでは割愛します。

時効援用でもう一つ、不利になることがあります。

それは、過払い金がある場合です。

時効にしてしまうと、その後に取引履歴
を取り寄せて、引き直し計算することは
まずないでしょう。

既に借金はないことになっているので、
特に必要もないと考えるからです。

しかし、もし過払い金が発生していて、
戻ってくる額が返済額より多い場合は、
プラスになる分を損してしまった、ということになります。

現実にはこのような例が発生すること
は少ないでしょうが、理論的にあり得
ることですね。

もし、過払い金の疑問がある場合は、
借りた日時と金利を調べてみた方が
よいかも知れません。

2010年以降の借り入れなら、過払い金は
発生しません。

また、それ以前の契約でも、利息が20%
迄なら同様に過払い金は発生しません。

過払い金が発生するのは、
20%以上29.2%迄の金利の場合
です。

これがグレーゾーンと呼ばれる金利です。

もっとも、2010年以前の契約では、大半
はこのグレーゾーンだったので、かなり
前の契約の時は、せめて契約の日時だけでも確認しておくべきでしょう。

時効が中断する条件とは?

時効が成立するには、

  1. 返済をしない状態を継続する(通常5年)
  2. その後、貸主に消滅時効援用の通知をする
  3. 貸主が「時効の中断」をしていない

この3つが絶対的な条件となります。

この状態で5年経てば、時効成立となるわけです。

しかし、現実には消費者金融などからの
借り入れでは、時効が成立することは
あまりありません。

その理由は、時効の中断があるからなのです。

時効の中断とは、文字通り時効が一時停
止したり、あるいはリセットされて元に戻ってしまうことです。

時効の中断は、以下のような場合に起こります。

  1. 債権者による請求
  2. 債務の承認
  3. 差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分

債権者による請求

債権者による請求は、2つあります。

一つは債務者への直接の連絡で、もう一
つは裁判所を通しての請求です。

直接の連絡では、「借金を返済して欲し
い」という内容の督促の書類を、
内容証明郵便で送り、請求します。

この内容証明郵便が送られると、一時的
に時効が中断しますが、中断の期間は、
6ヶ月間だけです。

郵便が届いた日から6ヵ月間たてば、
時効の進行が再開します。

訴状の場合は、提出が行われた時点で
時効は中断します。

債務者は、書面が届いた日から2週間以
内に、異議申し立てを行うことができます。

債務者が異議申し立てを行わなかった場
合は、債権者は30日以内に仮執行宣言の申立てができます。

仮執行宣言の申立てが行われると、時効は完全に中断します。

しかし、訴訟は時間も費用もかかるので、
実際にはあまり用いられません。

債務の承認

債務の承認とは、債務があることを
認めることを言います。

「必ず返します」とか、「○日までには
返します」などは、債務を承認したことになります。

また、たとえ1円でも返済すれば、それも
債務を承認したことになります。

この債務の承認は、
時効期間の満了後でも有効なのです。

時効期間の満了後に債務の承認をしてしま
うと、時効はリセットされ、振り出しに戻ってしまいます。

差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分

差し押さえや仮差し押さえ、仮処分でも時効は中断します。

訴訟や支払い督促などにより、裁判所が
債権者に強制執行の許可を出すと、債権
者は債務者の財産の差し押さえができるようになります。

これらの時効の中断では、後になって
時効中断の事由がなくなれば、再び
時効期間が進行します。

一時的な時効の中断の場合、時効の中断
事由がなくなれば、再度時効が進行します。

つまり、一度時効が中断した日からまた
時効が進行することになります。

これを一覧にすると、このようになります。

  1. 2018年2月1日:時効の進行開始
  2. 2018年6月1日:一時的に時効が中断
  3. この間時効の中断事由が続いている
  4. 2019年6月1日:時効の中断事由がなくなる
  5. 2023年2月:5年経つと時効期間の満了

結び

借金には時効というものがあります。

消費者金融などの法人から借りた場合は、
5年経つと時効となり、借金はないことになるのです。

しかし、この時効が成立するには、難し
い条件があり、現実には消費者金融など
からの借り入れが時効になることは滅多にありません。

また、時効の期間が過ぎた後でも、
時効の援用という手続きをしなければ、
時効は成立しません。

また、その時効までの期間は、銀行、消
費者金融などの法人の商取引は5年、個人
間の貸し借りは10年となっています。

時効には中断というシステムがあり、

  1. 債権者による請求
  2. 債務の承認
  3. 差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分

などがあると、時効は中断します。

ただし、貸し主側でも時効にならないよ
う、請求や債務の承認などを要求します
ので、実際に時効が成立することはあまりありません。

苦しい時の神頼みは、あまり役に立たな
いということでしょうね。