借金

個人再生で連帯保証債務に影響はある?主債務者と保証人の義務を解説

借金をする時には、通常連帯保証人
求められることが多いですよね。

しかし、この連帯保証人の義務は、ある
意味主債務者(借金をした当人)よりも、
重い場合もあるのです。

特に個人再生や自己破産の場合は要注意です。

任意整理の場合は、保証人のある債務は
対象から外すことが出来ます。

しかし、個人再生や自己破産の場合は
全ての債務が対象になり、整理の対象
を個別に選ぶことができないのです。

このため、保証人には大変な迷惑が
かかってしまいます。

保証人と連帯保証人の違いや、その義務
については後項で書きますが、
大きな迷惑を完全に避けることはできません。

そこで今回は、個人再生では連帯保証人
にどんな影響があるのか、保証人と連帯
保証人ではどう違うのかなどを、解説していきます。

個人再生で連帯保証人にどんな影響があるの?

個人再生での連帯保証人への影響は、
非常に大きなものがあります。

保証債務の履行義務が発生するので、
主債務者の借金を返済する必要があるのです。

つまり、債権者からの要求があれば、
借金をした当人に代わって、残りの
債務を返済しなければなりません。

但し、借金の元々の全額を返済しなけれ
ばいけない、というわけではありません。

主債務者が個人再生の手続きをすると、
個人再生で決められた額以外は返済をしなくなります。

当然債権者は元々の金額の80%から90%は
返済して貰えず、大損をすることになります。

そのため、連帯保証人はその損害分を、
返済しなければならない法的義務を負ってしまいます。

しかし、この場合でも債権者との相談で、
分割払いにすることも可能です。

また、主債務者の個人再生による分割返
済と、連帯保証人の返済の
合計が、借金額に達するまで返済すればよいのです。

つまり、元々の金額を全額返済する必要はありません。

通常であれば契約書に一定回数の支払い
を怠った場合、残りの借金をすべて支払
わなければならないと定めている場合が多いです。

そのため連帯保証人は債権者に対して
一括で返済しなければなりません。

しかし、それでは本来借金を支払う筈の
主債務者に比べてあまりに不平等です。

それで連帯保証人は債権者との相談で、
分割返済にすることができるのです。

ただ、一括返済か分割返済かは、連帯保
証人が独自に決定することはできません。

ただし、大半の債権者は連帯保証人の
分割返済に応じてくれるので、選べるに
近い状態とも言えるでしょう。

そして、支払い方法などは主債務者の
契約を引き継ぐ形になります。

連帯保証人が残りの債務や、遅延損害金
の返済をしてくれるならば、債権者から
見れば、主債務者の返済がそのまま続くということになります。

それならば債権者側にはなんの問題もない筈です。

それを債権者があくまで一括返済に拘っ
てごり押しして、今度は連帯保証人が個
人再生などすれば、債権者は大損をしてしまいます。

そのため、大半の債権者は、当初の契約
通りの分割返済を認めてくれます。

連帯保証人も個人再生ができる

連帯保証人が個人再生を申し立てることもできます。

主債務者の借金による連帯保証人の返済
額が高額ですと、返済ができない場合もあります。

そのような場合は、連帯保証人も
個人再生の申し立てが出来るのです。

ただし、債権者と主債務者の契約書に、
連帯保証人が個人再生の手続きした場合、

  • 主債務者は一括払いしなければならない
  • 新たに保証人を立てなければいけない

などの項目があると、これは問題となります。

連帯保証人が個人再生をすると、主債務
者は契約により、
その義務を負わなければなりません。

もちろん、そのような項目がなければ、
問題はありません。

保証人と連帯保証人ではどう違う?

前項では、連帯保証人の義務などについ
て書きましたが、ではただの「保証人」
と「連帯保証人」ではどう違うのでしょうか?

保証人と連帯保証人は、主債務者が返済
できなくなった時には,
代わりに返済する義務があるという点では同じです。

ただし、かなり大きな違いもあります。

連帯保証人の場合は、

  1. 催告の抗弁権がない
  2. 検索の抗弁権がない
  3. 分別の利益がない

という点が、単なる保証人と異なる所です。

催告の抗弁権がないとは、

債権者が、債務者が個人再生を行った時
に、連帯保証人に返済を要求することがあります。

その際、もし只の保証人であれば、
「それは主債務者に請求してください」
と主張することができます。

これを「催告の抗弁」と言います。

しかし、連帯保証人はその
催告の抗弁をすることができないのです。

検索の抗弁権がないとは、主債務者に財産が
あるのに、連帯保証人に債権者が支払い
請求をした場合でも、応じなければならない、というものです。

単なる保証人の場合は、このような時に
は債権者に対して、主債務者の財産に
強制執行をするように主張することができます。

これが「検索の抗弁権」と言われるものです。

しかし、連帯保証人の場合は、そのよう
な主張をすることはできないのです。

分別の利益がないとは、
保証人が複数いる場合には、借金の返済
義務は保証人の数で分割されます。

仮に保証人が2名の場合は、半分ずつ負担するわけです。

しかし、連帯保証人には、このような
負担の割合がありません。

連帯保証人が2名の場合でも、債権者が
一人の連帯保証人に対して、借金全額
支払いを求めたら、その連帯保証人は借金全額を支払わなければならないのです。

このように連帯保証人の義務は非常に大きく重いものです。

個人再生によって保証人はどの位の返済義務がある?

では、債務者の個人再生によって、
保証人はどの位の返済義務があるのでしょうか?

個人再生の場合は、債務者が返済する
金額は、借金全額の10%から20%に減免されます。

借金の全額を仮に500万円としますと、
通常は100万円を3年分割で返済して
いくことになります。

その場合、保証人が負担する借金返済額
は、借金残額から借りた債務者本人が
返済する金額を引いた残りということになります。

つまり、400万円ということですね。

保証人は本来求償権というものを持っています。

これは、保証人や連帯保証人が主債務者
の代わりに債権者に対して支払をした場
合(代位弁済)に、主債務者に対してその代位弁済分を請求できる権利です。

文字通り、償いを求める権利ということですね。

しかし、個人再生ではこの
 求償権も減額の対象になってしまうのです。

つまり、減額された100万円分しか
求償ができないのです。

このように、保証人は義務ばかりが重く
大きく、見返りはほとんど何もない、
という辛い役目なのです。

結び

個人再生に限らず、借金の保証人には
非常に重い義務があります。

ある意味、主債務者(借金をした当人)よりも、
重い位の義務です。

特に個人再生や自己破産の場合は要注意です。

任意整理の場合は、保証人のある債務は
対象から外すことが出来ますが、個人再
生や自己破産では、それはできません。

保証債務の履行義務が発生するので、
主債務者の借金を返済する必要があるのです。

つまり、債権者からの要求があれば、
借金をした当人に代わって、残りの
債務を返済しなければなりません。

同じ保証人でも、単なる「保証人」と
「連帯保証人」には、非常に大きな違いがあります。

保証人には認められている、

  1. 催告の抗弁権
  2. 検索の抗弁権
  3. 分別の利益

などは、連帯保証人には全てありません。

そのため、債権者に返済を求められた時に、
「それは借りた本人に言ってください」な
どとは言えないのです。

主債務者が資産がある場合、その財産に
強制執行をするように主張することもできません。

このように、借金の場合は特に連帯保証人の義務は重いのです。