借金

個人再生の履行テストとは?できる場所や失敗したときの返還は?

借金の返済が困難な場合には、
債務整理という方法が使われます。

これは文字通り「債務を整理する
(減免する)」システムです。

任意整理という、債権者と相談して返済
額を減らしたり、裁判所に申し出て自己
破産など、幾つかのやり方があります。

その中には個人再生という方法があります。

これは債務整理の中では新しい部類の
方法なのです。

それまでは、任意整理と自己破産しかな
かった債務整理に、その中間とも言える
個人再生が加わることにより、債務者の選択範囲も広がりました。

個人再生では返済額が5分の1から10分の1
になるという、大きなメリットがありま
すが、条件が厳しいのが難です。

その個人再生では、学校での試験にあたる
「履行テスト(履行可能性テスト)」というテストが行われます。

今回はその個人再生の履行テストに的を
絞り、履行テストとはどのようなものな
のか、また失敗した時にはお金は返還されるのかなどを見ていきましょう。

個人再生の履行テストとは?

債務整理の中でも
個人再生は比較的新しい制度です。

そのメリットやデメリットは、両方とも
任意整理と自己破産の中間程度です。

任意整理より減免幅が大きく、自己破産
より制限やペナルティは少ないという、
いいとこ取りのシステム
なのですね。

個人再生のメリットにはこのようなものがあります。

  1. 借金が80~90%と大幅に減る
  2. 家は売らずに済む
  3. 利用条件の制限は少ない
  4. 職業の制限がない
  5. 業者からの取立はなくなる

借金が80~90%と大幅に減るのが、
最大のメリットでしょう。

個人再生には最低弁済額という、最低限
これだけは返済しなければならない、
というリミットがあります。

  1. 500万円までの借金は100万円
  2. 1,500万円までの借金は5分の1
  3. 1,500万円までの借金は5分の1
  4. 3,000万円までの借金は300万円
  5. 5,000万円までの借金は10分の1

これが最低弁済額です。

おおよそ、元の金額の10%から20%迄減額
されるわけですね。

この個人再生の認可を受けるには、
幾つかの条件があります。

  1. 将来において、継続して収入を得られる見込みがある人
  2. 借金が5000万円以下の人
  3. 個人の債務者であること

実際に個人再生を行う場合の審査や制限
は、債務整理の中でも最大のものです。

色々と複雑な条件や制限があり、むしろ
自己破産の方が容易だという人もいます。

その条件の一つが、履行テスト(履行可
能性テスト)を行わなければならない、
というものです。

履行テストとはどんなもの?

この履行テストとは、実際に返済する際
に再生計画の通り実行できるかの、
予行演習のようなものです。

履行テストは、履行可能性テスト、
あるいはトレーニング期間とも言います。

債務者が再生計画通りに返済していくこ
とができるかを、あらかじめテストする、
というのがその目的です。

実際には、裁判所が弁護士の中から
「個人再生委員」を選任します。

その個人再生委員の指定する口座に、
再生計画と同じ金額を振り込んでいくのです。

この口座はその弁護士の事務所の場合が殆どです。

振り込み期間(回数)は通常6ヶ月ですが、
個人再生委員が「これなら大丈夫」と
判断すれば、3ヶ月程度に減らされることもあります。

具体的なスケジュールは、第1回目の支払
いは、個人再生の申立てをしてから
すぐに支払うことになります。

その後第2回以降は,1カ月ごとに支払いをしていきます。

一括で全て支払うことはできず、必ず
指定された回数(月数)で支払っていきます。

この履行テストでは、月々の支払い状況
非常に重要視されます。

これによって個人再生の認可が下りるか
どうかが、左右されるといつても過言で
ない位重要なのです。

ですから、指定された期間と金額は必ず
遵守すべきです。

なぜこんなテストをするのかというと、
個人再生で最も多いトラブルは、
弁済途中で返済ができなくなる、
というものだからです。

それを防ぐために、事前に弁済能力を確
認しておこう、という目的からのシステ
ムなのです。

なお、上記の履行テストの説明は、
東京地裁の場合のものです。

東京地裁以外では、個人再生委員は債務
者が弁護士に依頼している場合は選任さ
れないことがあるなど、地裁によってかなりの違いがあります。

履行テストでお金を納める方法も、
地裁によって違います。

東京地裁では個人再生委員の指定する
口座に納めます。

しかし、大阪地裁その他では手元の通帳
積立金を納めて、積立状況報告書を裁
判所に報告するなど、これも地裁によって違うのです。

正直なところ、この履行テストという
システムは、債務者にとってはあまり
ありがたくないシステムでしょう。

余分な手間とお金がかかるからです。

振り込んだお金は弁済金額に繰り入れら
れますが、個人再生委員には15万円
(弁護士をつけない場合は25万円)を差し引かれます。

只でさえ返済でお金に余裕がない時に、
15万あるいは25万というお金をテストの
ために支払えというのは、かなり酷なシステムだと思いますね。

これが1千万2千万という金額なら別です。

しかし、50万60万程度ですと、返済額を
10万円にして貰うためには、15万円を支
払わなければならないというのは、納得できない気もしますね。

個人再生を実際に行う人が、任意整理や
自己破産に比べてずっと少ないのは、こ
のあたりにも原因があるのかも知れません。

履行テストの影響や失敗したときの返還は?

履行テスト(履行可能性テスト)の結果
による影響は、極めて重大です。

たとえば、所定の期間、回数の分割では
なく、一括で納めたりしますと、それだ
けで個人再生の認可は下りない可能性が大です。

また、1回目は納めたが2回目以降は延滞
してしまった場合などは、
まず間違いなく認可は下りません。

履行テストは、個人再生の手続き開始か
ら認可が下りるまでの期間に行われます。

特に大事なのが第1回目の支払いです。

第1回目の支払期限は、通常個人再生の
申立から約1週間以内です。

この1回目の支払は、個人再生手続を開
始するか否かの判断材料にもなります。

1回目の納付が確認できない場合には、
個人再生手続そのものが開始されない
ので、必ず所定の日時に納めましょう。

また、弁済能力が十分あると認められれ
ば、6ヶ月を待たず履行テストは終了する
こともあります。

個人再生は、
「継続した弁済が可能であること」
が認可の条件となっています。

この「継続した弁済が可能であること」
を証明するのが、履行テストの目的なのです。

ですから、この履行テストで合格点を取
らないと、個人再生の認可はされません。

それでは、もし不幸にしてこの
履行テストで落第してしまったら、
納めたお金はどうなるのでしょうか?

ご安心ください! ちゃんと返して貰えます!

ただし、一金15万円なりの大金は、
ちゃんとさっ引かれて戻って来ます。

でもさらに安心してください!

履行テストはもう一度やり直すことは出
来ないので、さらに15万円(又は25万円)
をふんだくられる恐れはありませんので・・・

個人再生は必要な書類書式は、
自己破産とほとんど同じ位の量になります。

しかも個人再生に該当する条件は、
任意整理はもちろん、自己破産よりも厳しいのです。

個人再生はかなり有利な債務整理なのに、
なぜ実際に行った人が少ないのか、
これでおわかりかと思います。

結び

債務整理の一つ個人再生では、返済額が
5分の1から10分の1になるという、
大きなメリットがあります。

ただし、条件が厳しいのが難なのです。

その個人再生では、学校での試験にあたる
「履行テスト(履行可能性テスト)」というテストが行われます。

履行テストは、一種のシミュレーション
で、実際に返済する際に再生計画の通り
実行できるかをテストします。

通常は6ヶ月の間、再生計画と同じ額の
お金を納付していくのです。

これに失敗すれば、個人再生の認可はおりません。

しかし大丈夫、安心してください。

失敗してもお金は戻って来ます。

ただし、経費の15万円(弁護士がついて
いない場合は25万円)は、差し引かれますが・・・