借金

個人再生での利息の免除範囲の最高は?元本も減額してもらえる?

借金の返済に苦しんでいる時の解決法に
は、債務整理という方法があります。

債務整理は早く言えば合法的な
「踏み倒し」ですが、それだけに
デメリットや制約、制限も大きいものがあります。

債務整理には4種ありますが、その中の
個人再生での借金の減免幅は、自己破
産に次いで大きいのです。

その代わり、手数は債務整理の中でも最
もかかり、弁護士の費用も高くなります。

しかも、利用者は履行テストという
試験を受けなければならないのです。

そのためか、減免幅が大きい割りには
利用者は少ない、というのが現状です。

今回はその個人再生の利息や遅延損害金
は免除されるのか、元本の返済はどの位
減額されるのかを説明いたします。

もう一つ、自己破産に近い減額が可能な、
究極の個人再生「ハードシップ免責」
についても紹介いたします!

個人再生での利息と遅延損害金は免除される?

まず個人再生とはどのようなものかを、
簡単に説明いたしましょう。

個人再生は、借金の80%から90%をカット
して、残りを原則3年間で返済していく方法です。

個人再生では、
裁判所に今後の返済計画を提出し、
認めてもらうことになります。

ただし、継続的な収入がある人でないと
利用できません。

個人再生の減額は、
最低弁済額と清算価値の2つの基準
によって決まります。

最低弁済額は、最低限これだけは返済し
なければならない最低額で、
以下のようになっています。

  1. 500万円までの借金は100万円
  2. 1,500万円までの借金は5分の1
  3. 1,500万円までの借金は5分の1
  4. 3,000万円までの借金は300万円
  5. 5,000万円までの借金は10分の1

清算価値とは、借り手の預金や車、有価
証券、返戻金のある保険など、金銭価値
のあるものを売った場合の価格に換算します。

その合計を清算価値とするのです。

そしてもし、清算価値が最低弁済額を上
回る場合には、清算価値の金額を返済
しなければならないのです。

つまり、資産がある場合は、その資産分
は返済する必要があるわけです。

個人再生では、手続きを開始した時点で
の「借金の元本に利息を含めた金額」を
計算します。

この金額は「再生債権」と呼ばれるものです。

その金額を最大5分の1にまで減らして、返済します。

再生債権に含まれる利息は、

  1. 手続き開始前の時点で発生している利息
  2. 遅延損害金
  3. 手数料
  4. その他のすべての債務

が含まれます。

ただし、債務者が返済する再生債権には、
更に利息がつくことはありません。

個人再生での利息と遅延損害金はどうなる?

個人再生では借金の利息は返済することになります。

一方、損害遅延金の場合はかなり複雑ですが、
原則として返済金額に含まれます。

遅延損害金は、「延滞利息」とも呼ばれます。

しかし、遅延損害金と利息は、
内容的には全く異なります。

利息は、お金を借りた時の
「対価」として支払うものです。

一方、遅延損害金は、契約不履行
(履行遅滞)が原因による損害賠償金です。

「利息の上乗せ」というものとは違います。

損害賠償なのに「年○%」という表現は、
民法の規定によるものだからです。

民法419条には、「金銭を支払う約束の
不履行に対する損害賠償は法定利率もし
くは約定利率による」とあります。

損害賠償は、本来は「発生した損害の額」
の筈です。

しかし、「返済が遅れたことで実際に発
生した損害額」は、金額を想定するのは
非常に困難です。

そこで、民法ではそのような場合は、
「法定(約定)利率による遅延損害金で
一律に算出する」としているのです。

したがって、債権者は、
損害額を証明する必要はありません。

単に、お金の貸し借りがあったことと、
延滞のあったことを証明すれば良い、と
いうことになります(民法419条2項)。

また、通常の損害賠償は、原則として
過失がある場合にのみ発生します。

しかし、遅延損害金の場合は、
過失の有無には関係なく発生します。

元本も減額してもらえる?

元本の減額は、前項で書いたように

  1. 500万円までの借金は100万円
  2. 1,500万円までの借金は5分の1
  3. 1,500万円までの借金は5分の1
  4. 3,000万円までの借金は300万円
  5. 5,000万円までの借金は10分の1

となります。

なお、金額が5000万円までの場合には、
10分の1になりますが、これには
住宅ローンなどは含まれません。

したがって、通常の場合は
このケースはあまりないでしょう。

もう一つ、前項で書いたように、
清算価値の問題があります。

そしてもし、清算価値が最低弁済額を上
回る場合には、清算価値の金額を返済
なければならないのです。

つまり、資産がある場合は、その資産分
は返済する必要があるわけです。

個人再生の原則として、「減額後の借金
の金額が、この清算価値を上回らなけれ
ばならない」というものがあります。

これが「清算価値保障原則」というものです。

したがって、最低弁済額が100万円の場合
でも、家や車の清算価値が150万円の時は、
150万円を3年間で分割返済するとこととなります。

個人再生は色々と有利な点が多い債務整
理ですが、妙な条件や制約が多数あり、
利用しづらいという欠点もあります。

その代表例が履行テストです。

支払い能力と意思があるかをテストする
こと自体は、悪いこととは思いません。

しかし、その履行テストに15~25万円と
いう高額な費用がかかるのは、
いかがなものでしょうか?

これは個人再生委員を弁護士に選任して
委託するため、弁護士の手数料としてそ
のような費用が発生するのです。

これを借金の分割返済に含めて、
分割で返済出来るようにするなどすれば、
債務者としては大変助かることでしょうね。

ハードシップ免責を利用するには

個人再生を行い、借金が減額されても、
それでもなお返済が困難ということもあります。

その時の救済制度として、
「再生計画の変更」と「ハードシップ免責」
というものがあります。

「再生計画の変更」では、返済期間を
さらに2年延長することができます。

その場合は月々の返済額が大幅に減り、
返済は随分と楽になります。

この再生計画の変更のデメリットとして
は、弁護士の費用が大幅に増えることです。

弁護士によって違いますが、おおよそ
個人再生での弁護士費用と同じ程度
とされています。

また、煩雑な手続きが必要で、その時間
も3か月以上はかかります。

ハードシップ免責とは

ハードシップ免責とは、早く言えば
個人再生の中で自己破産をするようなもの
です。

これにより、借金は事実上ゼロになります。

ただし、あくまでも限定的なもので、
しかも条件や制約が非常に厳しく、
実際に行った人はごく少数です。

ハードシップ免責は、個人再生での返済
が著しく困難になった人を対象に、
残りの返済を免除するシステムです。

ハードシップ免責をするには、
裁判所に免責申立書を提出します。

裁判所は、条件が満たされているかを
審査し、債権者の意見も聞いてから
判断を下します。

ハードシップ免責を受けるための条件は、
このようなものです。

  1. 返済金額4分の3以上をすでに支払い終わっていること
  2. やむを得ない事情によって、返済が極めて困難になっていること
  3. 再生計画の変更による返済期間の延長をしても返済ができないと認められること
  4. 債権者の一般的な利益に反しないこと

これらの条件を全て満たさないと、
ハードシップ免責はできません。

この4つを同時に全て満たせるのは、
ごく少数の人になるのも当然でしょうね。

上の条件で、「債権者の一般的な利益に
反しないこと」について、少し書いてみましょう。

一般的に債務整理では、貸した方の
債権者は悪玉扱いにされます。

債務整理に限らず、借金の話全体でも
鬼扱いですね。

金融機関にしてみれば、債務整理は
全て合法的な踏み倒しです。

利益を得るどころか大損をしているのです。

しかもべつに債務者にお金を借りるよう
に強制したわけでもなく、
全て債務者の自発的行為なのに、です。

こう考えてみると、債務整理にある程度
の条件や制約があるのも、
やむを得ないことなのでしょうね。

結び

個人再生では、
借金を5分の1まで減らすことが出来ます。

ただし、資産がある場合は、その資産分
を換金した金額は返済する必要があります。

そして元本に各種利息や遅延損害金も含
めた金額が、実際に返済する額となるのです。

ただし、債務者が返済する再生債権には、
更に利息がつくことはありません。

その減額された返済でも、なお苦しい場
合には、「再生計画の変更」と「ハード
シップ免責」という制度もあります。

しかし、いずれも弁護士などの費用が
高額になったり、条件が非常に厳しかっ
たりで、実際に利用する人は、ごく少数に留まっています。