借金

借金を踏み倒しは詐欺になる?踏み倒した後はどうなる?

消費者金融などから、多額の借金をして
いる場合のことです。

借金で首が回らない時に、ふと
「この借金を踏み倒せたらなぁ・・・」
と考えたことがある人は、かなりいるのではないでしょうか。

借金は必ず返さなければならないもの
ではありますが、踏み倒したいという、
その気持ちもわかりますよね。

そんな場合、踏み倒しは詐欺になる
ものでしょうか?

なるとしたら、どのような場合に詐欺に
なるのでしょうか?

また、借金の踏み倒しには
時効はあるのでしょうか?

今回は、借金の踏み倒しは詐欺になるの
か、踏み倒した後の時効などはどうなる
のか、そのような疑問にお答えしましょう。

借金の踏み倒しは詐欺になるか?

借金の踏み倒しは詐欺になるか、という
ことですが、消費者金融などの借金を踏
み倒しても、通常は刑法上の詐欺罪には該当しません。

「通常は」という但し書きをつけたのは、
「最初から踏み倒すつもりで借りた」
場合は、詐欺になるからです。

刑法第246条の詐欺の項には、

人を欺いて財物を交付させた者は、
十年以下の懲役に処する。

前項の方法により、財産上不法の利益を得、
又は他人にこれを得させた者も、
同項と同様とする。

という条文があります。

この「人を欺いて」の所が大事で、つまり
最初はちゃんと返すつもりでいた時は、
だます(人を欺いて)つもりではないのです。

ですから、詐欺とはならないわけですね。

「最初から踏み倒すつもりで借りた」場
合は、だます(人を欺いて)つもりだっ
たので、詐欺となるわけです。

詐欺罪を立証するには一連の
「欺罔行為→錯誤→処分行為→財産の移転」
の要件を満たす必要があります。

欺罔(ぎもう)行為:
加害者が騙すつもりで被害者を欺いた

錯誤:
被害者が騙された

処分行為:
錯誤により被害者が財産を処分した

占有移転、利益の移転:
被害者が加害者に処分した財産を渡した

欺罔行為とは、次のようなものがあります。

  • 最初から返済する意思がない
  • 返済する能力がないのに借金をした
  • 借りる際に嘘を言う

ここで問題なのは、最初から返済する意
思も能力もないのに、借金するのは確か
に詐欺に当たります。

しかし、それを立証するのが困難なのです。

勤務先や連帯保証人の記載で、虚偽が書
かれていれば、「借りる際に嘘を言う」に該当します。

しかし、そのような虚偽の記載もない場
合には、「借りた時にはちゃんと返済
るつもりだった」と主張されれば、詐欺にはなりにくいでしょうね。

つまり、借金の踏み倒しでは、刑事責任
を問うのは難しいということになります。

では、踏み倒しはなんの犯罪になるのでしょうか?

これは犯罪にはならないのです。

借金の踏み倒しは民事事件となり、
民法第415条の「債務不履行」になります。

【債務不履行による損害賠償】民法第415条

債務者がその債務の本旨に従った履行
をしないときは、債権者は、これに
よって生じた損害の賠償を請求することができる。

債務者の責めに帰すべき事由によって
履行をすることができなくなったときも、同様とする。

つまり、踏み倒しは債権者と債務者との
「契約違反」になりますが、
犯罪とはならないのですね。

踏み倒しを裁判で解決するには、民事裁
判での争いとなり、判決が出る前に和解
する場合が多いのは、離婚裁判などと同様です。

では、借金の踏み倒しにはデメリットは
ないのかと言いますと、決してそのよう
なことはありません。

借し手はもちろん貸したお金が返って来
ないという被害がありますが、
借り手の方にも大きなデメリットが生じます。

社会的制裁を受けること、金銭的な信用
を無くすことなど、いずれも大きなデメリットですね。

その他にも、今までの人間関係が壊れる
という、大きな損失もあります。

借金の踏み倒しをすると、必ず実家や
勤務先などに催促の連絡がいきます。

そのため、実家や職場でも信用がなくなってしまいます。

これはある意味、借金の額より大きな問題でしょう。

失われた信用は、踏み倒して得た金額よ
遙かに大きなマイナスだと思いますよ。

踏み倒した後の時効などはどうなる?

以下はもし、借金を踏み倒したと仮定してのお話です。

借金にも時効があります。

5年または10年以上、借金を返済せず
放置している人は、時効になっている
可能性があるのです。

この時効には色々と条件がありますが、
時効となる期間が過ぎても、そのまま
放置していたのでは、時効は成立しません。

時効が成立するためには、貸主側に書面
を送り、「消滅時効の援用手続き」
する必要があります。

時効には条件があると書きましたが、
時効の成立には「消滅時効の援用手続
き」以外にも複雑な条件があります。

借金の時効成立の条件は、

  1. 返済しない期間が5年または10年以上
  2. 消滅時効の援用を行う
  3. 貸主が「時効の中断」をしていない

などです。

この「時効の中断」がくせ者で、時効の
中断事由には、請求、差し押さえ・仮差
押または仮処分、債務の承認などがあります。

たとえば、貸し主から訴訟、裁判所経由
の督促などがあると、時効は中断されます。

また、裁判所経由でない直接の督促でも、
それに返事をすれば、
その時点で時効は中断します。

さらには、督促ではなく、「あなたには
これこれの負債がありますが、間違いな
いですね?」という確認でも、それを認めれば時効は中断となります。

貸し主直の連絡は
借金の時効は6カ月しか伸びません。

ですので、直の連絡の場合は無視でもよ
いのですが、裁判所経由の訴訟や差し押さえは面倒です。

これに対応するのは、弁護士や司法書士
でないと難しいでしょうね。

時効の援用をするには、
「配達証明書付きの内容証明郵便」
貸主に送ることで行います。

かなり面倒な書式ですが、自分で書く場
合は、司法書士や弁護士のサイトにある
テンプレートを参考にすればよいでしょう。

内容証明郵便の書式では、用紙の指定は
特にありません。

どんな用紙がよいのかわからなければ、
内容証明専用の用紙が文房具店
などに
ありますから、それを使うのが無難でしょう。

また、内容証明郵便の文字数・行数の
上限は、縦書きの場合は
1行20字以内・1枚26行以内。

横書きの場合は、
1行13字以内・1枚40行以内
1行20字以内・1枚26行以内
1行26字以内・1枚20行以内

この場合は、句点(。)や読点(、)も、
それぞれ1文字としてカウントします。

こうしてみますと、借金には時効はある
ものの、実際に
時効にするのは非常に困難ということになります。

結び

借金の踏み倒しは詐欺になるか、という
ことですが、消費者金融などの借金を踏
み倒しても、通常は刑法上の詐欺罪には該当しません。

「通常は」という但し書きをつけたのは、
「最初から踏み倒すつもりで借りた」
場合は、詐欺になるからです。

この「人を欺いて」の所が大事で、つまり
最初はちゃんと返すつもりでいた時は、
だます(人を欺いて)つもりではなかったわけです。

ですから、詐欺にはならないわけですね。

もちろん、「最初から踏み倒すつもりで
借りた」場合は、だます(人を欺いて)
つもりだったので、詐欺罪となります。

また、返済する能力がないのに借金をし
た場合や、借りる際に嘘を言ったりする
と、これも詐欺罪に該当します。

借金の時効は、5年ないし10年です。

ただし、このこの時効には色々と条件が
あり、時効の中断の処置などがされてい
ると、5年経っても時効にならない場合が多いのです。

そのために、借金には時効はあるものの、
実際に時効にするのは非常に困難です。

借金を時効にした人が少ないのは、その
為なのでしょうね。