借金

借金の取り立てを辞めさせたい場合の相談は弁護士?司法書士のどちらに相談するべき?

借金の取り立ては、された者でなければ
わからない、実にいやなものと言われています。

20年程前迄は、大手の金融会社でも現在
なら違法とされかねない厳しい取り立て
を行っていたそうです。

しかし、2010年の改正貸金業法以後は、
恐怖を感じるような取り立ては、大手で
は行われなくなりました。

とはいえ、中小貸金業者では現在でもか
なり問題がありそうな取り立てもあるようです。

もちろん、闇金は論外で、彼らは最初か
ら法など無視していますから、怖いですね。

ということで、借金の取り立てを止めた
い時にはどうしたらよいのか、相談する
なら弁護士と司法書士のどちらがよいのかを、見ていきましょう。

取り立てを止めるには弁護士と司法書士のどちらに相談すべき?

借金の取り立てを止めるには、
まともに返済を続けることが一番です。

普通に返済を続けていれば、督促など全くありません。

しかし、時と場合によっては、その返済
が出来なくなることがあります。

利息の支払いだけで精一杯のところに、
不時の出費がかさんだなどの場合ですね。

督促(取り立て)はそのような時に始まります。

現在では昔のような激しい取り立ては、
法律で禁じられていますので、まともな
業者であれば、法に触れるような取り立てはありません。

そうはいっても、取り立てを受けるとい
うだけで、
債務者は大変な精神的負担を受けます。

返済を続けること以外で、この取り立て
を止めるには、やはり債務整理というこ
とになります。

しかし、債務整理は手続きも煩雑で必要
なものも多く、とても素人の手には負えません。

どうしても専門家の手を借りなければ
ならないのです。

債務整理などでは、弁護士や司法書士が
債務者の依頼を引き受けると、債権者に
「受任通知」を送ります。

この受任通知書が届いた以後は、
債務者本人への督促は、
法令によって禁止されています。

それは貸金業法によるものです。

貸金業法第21条第1項

貸金業を営む者又は貸金業を営む者の
貸付けの契約に基づく債権の取立てに
ついて貸金業を営む者その他の者から

委託を受けた者は,貸付けの契約に基
づく債権の取立てをするに当たつて,
人を威迫し,又は次に掲げる言動その

他の人の私生活若しくは業務の平穏を
害するような言動をしてはならない。

同第9号

債務者等が,貸付けの契約に基づく債
権に係る債務の処理を弁護士若しくは
弁護士法人若しくは司法書士若しくは

司法書士法人(以下この号において
「弁護士等」という。)に委託し,
又はその処理のため必要な裁判所にお

ける民事事件に関する手続をとり,弁
護士等又は裁判所から書面によりその
旨の通知があつた場合において,正当

な理由がないのに,債務者等に対し,
電話をかけ,電報を送達し,若しくは
ファクシミリ装置を用いて送信し,又

は訪問する方法により,当該債務を弁
済することを要求し,これに対し債務
者等から直接要求しないよう求められ

たにもかかわらず,更にこれらの方法
で当該債務を弁済することを要求すること。

というわけで、受任通知は
法に定められた強制力を持っているのです。

さらには、罰則もあります。

貸金業法47条の3第3号では,上記の第21
条第1項の規定に違反した場合には,
2年以下の懲役、300万円以下の罰金、あるいはその両方の刑罰を科すとあります。

また、業務停止や貸金業登録取消しなど
の行政処分の対象にもなります。

したがって、取り立てはピタリと止まるわけです。

取り立てを止めるには弁護士と司法書士のどちらがよい?

この受任通知書は、弁護士か司法書士が
送りますが、では債務整理は弁護士と
司法書士のどちらに依頼すべきでしょうか?

どちらも法律に関してはブロ中のプロで
すから、知識や経験については安心して依頼できます。

弁護士と司法書士で決定的に異なる点は、

  • 弁護士は法律に関する全ての業務が行える
  • 司法書士は認定を受けた者が、簡易な法的業務を行える

という点です。

つまり、司法書士の場合は本来の業務は、
法律に関する登記・供託業務がメイン
です。

それが弁護士の不足により、一定の借金
の整理手続と140万円以下の民事訴訟の和
解・交渉・訴訟代理権が認められたのです。

そのため、司法書士が扱える事件は、
簡易裁判所によるものだけで、
地方裁判所の事件は書式の作成以外は扱えません。

裁判所に同行して交渉するなどは、
簡易裁判所の事件しか出来ないのです。

このように、司法書士の行える業務には
制限があり、弁護士のように法律問題の
オールマイティというわけではありません。

ならば弁護士の方がよいに決まってる?

いえいえ、必ずしもそうは言えません。

一つには費用の問題があります。

弁護士関連のサイトでは、弁護士の費用
高くないことを強調していますが、
これはあまりあてになりません。

一般的には、債務整理での弁護士と司法
書士の費用は、やはり
弁護士の方が高いのが普通です。

ただし、これはあくまで一般論であり、
個別に比較すれば弁護士の方が安いという
ケースもあります。

あともう一つ、上記のように司法書士は
どのような案件ではできるわけではありません。

140万円以上の案件や、地方裁判所の事件
などは、代理人になることはできません。

ただ、書式作成や法定外でのアドバイスなどは可能です。

このようなわけで、弁護士か司法書士か
の問題は、自分の借金の額なども考慮し
て決めるべきでしょう。

借金の取り立てとは?

借金の取り立てで違法行為になる行為は、
2010年の改正貸金業法成立で大きく変わりました。

貸金業法21条では、

「貸金業を営む者は、貸付契約に基づく

債権の取立てをする場合、人を威嚇し、

又はその私生活や業務の平穏を害するよ

うな言動により、その人を困惑させてはならない」

となっています。

現在の違法な借金の取り立て方法は、
以下のようなものです。

  1. 時間外の取り立て行為
  2. 自宅以外の職場などに連絡する
  3. 借金の事実を第三者に開示する
  4. 他の業者から借金するように要求する
  5. 第三者に借金の返済を要求する
  6. 債務者の退去依頼を無視する
  7. 弁護士等の介在通知受領後の督促

これらについては、通常の消費者金融な
どでは、規模の大小を問わず、ほぼ遵守されています。

これは一つは警察での対応も変化してき
て、違法な取り立てにも対応するように
なってきたからでしょう。

違法なとりたてをすれば、営業停止に
なったり、時には刑法の処罰の対象に
なったりもしますので、無茶な取り立てはほとんど影を潜めています。

違法でない正当な取り立て行為とは
このようなものです。

  • 債務者の電話に連絡する
  • 債務者の自宅に督促の通知をする
  • 債務者の自宅を訪問する

これらが合法な取り立て行為とされてい
ますが、それもやり方によっては、違法
になる可能性が高いのです。

例えば、債務者の電話に連絡する場合でも、
時間にお構いなく何時でも電話をしてよい
というものではありません。

社会通念上、通常でない時間帯
〈午後9時~午前8時〉に、電話すれば、
違法となります。

債務者の自宅に督促の通知をするのも
電話と同様です。

債務者の自宅を訪問する

これも、帰ってくれと言われても帰らな
ければ、違法になりますし、一日に数回
も押しかければ、同様に違法とされます。

ただし、債務者が全く電話に応答せず、
自宅に行っても居留守の連続など、債
務者に非がある場合は、職場に連絡しても違法にはなりません。

このように、合法非合法の分かれ目は、
意外に「常識の範囲内」という面が
あるのですね。

督促内容は借入先によっても異なる

銀行のカードローンは、大半が保証会社
付きで融資が行われています。

保証会社は同じ銀行グループ内の消費者
金融会社や、クレジットカード会社、
信販会社の場合がほとんどです。

銀行ローンでは、返済金が延滞すると、
督促状や電話での督促を行います。

それが3ヶ月以上延滞となると、
保証会社から立て替え払いをしてもらいます。

これを「代位弁済」と言いますが、
これもブラックリスト入りとなります。

代位弁済の後は、債務者は保証会社に
返済することになります。

消費者金融会社は貸金業法を遵守する義
務があるので、違法な督促行為はまずありません。

督促にしても、電話での督促の口調が
強くなる程度です。

しかし、闇金業者はそうはいきません。

一度でも遅れたら勤務先に押しかけてき
たり、自宅への張り紙をしたり、恐喝ま
がいの督促行為を行います。

もともと闇金自体が違法な存在なので、
当然取り立ても違法が当たり前なのです。

結び

債務整理で、弁護士と司法書士のどちら
に依頼すべきかは、案件の内容によります。

司法書士が代理人として扱えるのは、
簡易裁判所での140万円以下の民事訴
訟の和解・交渉・訴訟などです。

地方裁判所の事件や140万円を越える場合
は、できるのは書式の作成と
法定外でのアドバイスのみです。

地方裁判所の事件や140万円を越える場合は、
代理人として交渉したり、
法廷に出廷したりはできないのです。

しかし、司法書士に依頼するのは、
メリットもあります。

それは費用が安い場合が多い、という点です。

ただし、これは個別のケースにより、
弁護士の方が安い場合もあります。

ですから、どちらに依頼するかは、
自分の案件の内容によって、
判断すべきでしょうね。