自己破産

自己破産はギャンブル借金でもいける?裁量免責をもらう条件とは?

多額の借金をして返済が出来なくなった
場合、その対策として債務整理というも
のがあります。

その債務整理には、任意整理、個人再生、
自己破産などがありますが、任意整理以外
は裁判所によるもので、非常に強力な方法です。

個人再生の場合は、借金の80%から90%が
免除され、自己破産では100%免除、つま
り借金を返さなくてよい、というものです。

しかし、強力で法的な強制力もあるので
すが、
その分制限や制約もあります。

その代表的なものが、申し立て(免責)が
認められない場合です。

免責不許可事由という、免責には相当
しないという理由があると、
免責は認可されません。

しかし、そのような理由がある場合でも、
裁判所による裁量免責という方法で免責
がおりるケースも多いのです。

そこで今回は、自己破産はギャンブルの借
金でもできるのか、裁量免責をもらう条件
はどのようなものかを、紹介していきます。

自己破産はギャンブルの借金でもできる?

裁判所から自己破産が認められないケー
スは、免責不許可事由のどれかに該当する場合です。

その免責不許可事由には、
以下のようなものがあります。

  1. 財産を偽ったり、隠したり壊したりすること
  2. 一部の債権者のみに返済すること
  3. 自分の資産や収入などを偽って借金をしたりしたこと
  4. 浪費やギャンブルなどによる借金
  5. 財産などに関する帳簿や書類などを隠したり偽造したりしたこと
  6. 偽りの債権者名簿(債権者一覧表)を裁判所に提出すること
  7. 裁判所の調査に対して協力しないこと
  8. 破産管財人などの職務を妨害すること
  9. 7年以内に自己破産や個人再生の手続をしていること
  10. 破産法上の義務違反行為

財産の隠匿は、
もっともよくあるケースでしょう。

自己破産後に少しでも多くの資産を残し
たいと思うのは、当然ではありますが、
これは完全に免責不許可事由に該当します。

一部の債権者のみに返済することは、
自己破産時には全ての債権者に平等に
資産を配分するという、趣旨に背きます。

例え親戚や友人からの借金であっても、
優先して返済することは堅く禁じられています。

自分の資産や収入などを偽って借金
したりしたことについては、かなり複雑です。

これ以上の返済は不可能なのに、故意に
資産や収入があるように装って借金をし
た場合などが該当します。

しかし、単に支払い不能の状態であるこ
とを金融業者に告げずに、金融取引を行っ
た場合は、該当しないという説もあるのです。

このような場合の線引きは、かなり微妙です。

浪費やギャンブルなどによる借金の場合
は、単に少しばかりギャンブルで損をし
た程度では該当しません。

いわゆるギャンブル狂や買い物依存症
など常習的に行うケースが、これに該当します。

株取引やFX取引、先物取引なども該当
することがあります。

財産などに関する帳簿や書類などを隠し
たり偽造したりしたことは、主として業
務上のものが多いのです。

しかし、個人の場合でもこれに該当するケースもあります。

偽りの債権者名簿(債権者一覧表)を裁
判所に提出することには、意図的に債権
者名簿から特定の債権者を除外した場合などが当たります。

裁判所の調査に対して協力しないこと
は、嘘の説明をしたり,説明をしなかっ
たり、する場合がこれに当たります。

破産管財人などの職務を妨害することは、
管財業務妨害行為となります。

破産管財人の行う財産調査などに、
非協力的な場合などが該当します。

前に自己破産や個人再生の手続をしてい
た時は、その後7年は自己破産はできません。

破産法上の義務違反行為は、
比較的希なケースです。

破産手続開始後に、許可なく居住地を
離れて所在不明となっ場合などが該当します。

ギャンブルの借金でも自己破産はできる?

これはケースバイケースでしょうね。

裁判所では、ギャンブルでの借金は、ど
れほどの期間、どの位の頻度と金額で
ギャンブルをしていたのか、を調査します。

ギャンブルが好きでしょうがない人が、
ギャンブルを常習的に繰り返していた
場合と、1度のバクチで大きな借金をした場合では、裁量も変わってきます。

当然、常習的な場合の方が厳しく見られ
ますが、そのようなケースでも裁量免責
となった例もあります。

ですので、一概には言えませんが、
ギャンブルの場合は、
裁量免責が出る可能性はかなり多いとは言えます。

裁量免責をもらう条件とは?

債務整理の個人再生や自己破産では、
「裁量免責」という制度があります。

個人再生や自己破産は、裁判所から免責
が認可されないと、行うことが出来ません。

不認可になる理由は、前項で書いた
「免責不許可事由」がある場合です。

しかし、免責不許可事由がある場合でも、
裁判官の裁量により免責が許可される場合もあるのです。

それが「裁量免責」という制度です。

裁量免責には、法令で明文化された一定
の基準、条件というものはありません。

これは裁判所の判断にゆだねられているのです。

破産法 第252条 第2項

「前項の規定にかかわらず,同項各号に
掲げる事由のいずれかに該当する場合で
あっても,裁判所は,破産手続開始の決

定に至った経緯その他一切の事情を考慮
して免責を許可することが相当であると
認めるときは,免責許可の決定をすることができる。」

それゆえ、同じ状況でもある裁判所では
裁量免責が認められ、別の裁判所では認
められない、ということもありえます。

裁量免責には、一定の基準や条件はあり
ませんが、それでもここが重要というポイントはあります。

  1. 免責不許可事由に該当する場合の違反の程度
  2. 破産者の反省の態度
  3. 破産手続きに非協力的でないか
  4. 経済的に更生できるかどうか
  5. 経済的に更生できるかどうか

免責不許可事由に該当する場合の違反の程度
は、比較敵小さい場合は、
認められやすくなります。

前項で書いたように、同じギャンブルに
よる借金でも、ギャンブルを常習的に繰
り返していた場合は、裁量免責はおりにくくなります。

しかし、通常はギャンブルには手を出さな
い人が、ふと魔が差してギャンブルに手を
出してしまったという場合は、裁量免責が出る可能性は高いです。

破産者の反省の態度も、
裁量免責には大きく影響します。

借金を返せなくなったことを深く反省し、
債権者には謝罪する態度を見せ続けていれ
ば、裁判所としても裁量免責をすることにはやぶさかではありません。

破産手続きに非協力的でないかという点も、
重要です。

これは具体的には、破産管財人との面接
や、債権者集会に出席したかどうかなどです。

真摯な態度で手続きに臨んでいれば、
これは特に問題はないでしょう。

経済的に更生できるかどうかも大事です。

自己破産制度の目的は、借金をなくすこ
とで経済的な更生を促すことです。

したがって、破産者が経済的に更生する
意欲を見せれば、裁量免責の確率も上がります。

具体的には、浪費をせず、収入を得る道
を捜すなどでしょう。

自己破産以外に救済方法が無い場合は、
裁量免責を認めないと、
完全に行き詰まってしまいます。

つまり、後は飛ぶか吊るかになってしまう場合は、
このような理由での裁量免責も出るケースもあります。

但しこれは、そのような状況なら必ず
認められるというものではありません。

そのような場合もある、ということです
ので、あてにすべきではないでしょう。

結び

ギャンブルの借金でも自己破産はできる
かは、ケースバイケースでしょう。

裁判所では、ギャンブルでの借金は、ど
れほどの期間、どの位の頻度と金額で
ギャンブルをしていたのか、を調査します。

それにより、常習的なギャンブル狂の場
合は、裁量免責は出にくくなります。

とはいえ、一概には言えませんが、
ギャンブルの場合は、裁量免責が出る可能性はかなり多い
方に入るとは言えるでしょう。

裁量免責が出る条件としては、免責不許
可事由に該当する場合の違反が軽度、破
産者の反省の態度が顕著な時には、可能性は高いようです。